「ヨガ、興味はあるんだけど、忙しくて時間が取れないんだよね…」ヨガを教えていると、本当によく耳にする言葉です。特に、子育てに奮闘するパパママや、仕事に追われる会社員の方々からは、このセリフがひんぱんに聞かれます。確かに、慌ただしい毎日の中で、ヨガの時間を捻出するのは簡単なことではありません。
でも、最近強く感じるのは、「時間がない」と嘆く人ほど、実はヨガがもたらす「自分と向き合う時間」を必要としている、ということです。「時間がないからやらない」のではなく、「時間がないからこそ、やるべき」なのではないでしょうか?
たった15分でも構いません。深く呼吸し、身体の感覚に意識を向け、ゆっくりと動きを味わい、そして心ゆくまでリラックスする。その短い時間が、あなたの心と身体に想像以上の変化をもたらしてくれるはずです。
この記事では、「時間がないからヨガができない」と感じているあなたへ。なぜ、そんな忙しい人にこそヨガがおすすめなのか、その理由を深く掘り下げていきましょう。
「自分時間」を後回しにする代償

私たちは、忙しさに追われると、つい「自分」を後回しにしてしまいがちです。仕事、家族、子ども…。「自分のことは二の次」という姿勢は、一見すると優しさや責任感のように見えるかもしれません。しかし、それが常態化するとどうなるでしょうか?
身体は休まることなく、交感神経が優位な状態が続きます。夜になっても寝付けない、朝起きても疲れが取れない、些細なことでイライラする、集中力が続かない…。こういった症状が現れ始めたら、自律神経のバランスが崩れているサインかもしれません。そしてそれは、単なる「疲れ」では済まされない事態へと発展しかねないのです。
自分の心や身体の声に耳を傾ける時間を持つこと。これこそが、自律神経を整え、回復力や判断力、そして心の安定といった、多くの恩恵をもたらしてくれます。だからこそ、忙しさに流されるのではなく、意識的に立ち止まる時間を作ることが重要なのです。そのための手段として、ヨガは非常に優れていると私は考えています。
「時間がない」「体が硬い」…ヨガを遠ざける誤解と、その落とし穴

「ヨガって、時間があって、身体が柔らかい人がするものだよね?」
「ちゃんと1時間のレッスンを受けて、着替えて、シャワーを浴びて…。そんな余裕、私にはないわ」
こういった声もよく聞きますが、これらは大きな誤解です。
確かに、ヨガスタジオに通ってレッスンを受けるには、ある程度のまとまった時間が必要かもしれません。しかし、ヨガは本来、もっと自由で、どこでも、短い時間でも効果を発揮するものです。
特にヨガ初心者の方ほど、「ちゃんとやらないと意味がない」と思い込みがちですが、それは違います。深い呼吸を意識して背伸びをするだけでも、椅子に座って目を閉じ、数回深呼吸をするだけでも、それは立派なヨガです。
もう一つ、よくある誤解が「身体が硬いからヨガはできない」というものです。しかし、身体が硬い人にこそ、ヨガは強くおすすめします。ヨガは、身体を柔らかくするために行うものであって、身体が柔らかくなってから始めるものではありません。
つまり、「時間がない」「身体が硬い」「ヨガマットがない」など、やらない理由を挙げればきりがありませんが、それらは本質ではありません。本当に大切なのは、「今の自分と向き合う時間を持てるかどうか」。そこに気づくことができれば、ヨガは驚くほど身近な存在になるはずです。
忙しいあなたにこそヨガが必要な3つの理由と、無理なく始めるコツ

ヨガが忙しい現代人にこそ必要な理由は、主に以下の3つが挙げられます。
副交感神経を優位にし、心身をリセットする
ヨガでは、呼吸と動きを連動させながら進めていきます。これは心拍を整え、呼吸を深くし、自律神経に穏やかにアプローチします。特に、最後に取る「屍のポーズ(シャヴァーサナ)」は、副交感神経を優位にし、ストレスで高ぶった心を深く落ち着かせてくれます。たった10分でも、慌ただしい日常からの「切り替えスイッチ」として機能してくれるでしょう。
「無自覚な疲労」に気づくきっかけになる
忙しい人は、自分がどれほど疲れているかさえ気づかないまま、ひたすら走り続けてしまうことがあります。ヨガの時間は、そんな“無自覚な疲労”に気づくための貴重な時間となります。「あ、こんなに肩が上がっていたんだ」「呼吸がすごく浅かったんだ」といった小さな気づきが、自分自身を労わる第一歩になるのです。
意識的に“止まる”ことでパフォーマンスが向上する
皮肉なことに、「忙しいから止まれない」と思っている人ほど、意識的に立ち止まることで、その後の効率が格段に上がります。ヨガの時間で脳をリセットすると、その後の仕事や家事への集中力が高まり、結果的に心にも時間にも“余裕”が生まれるでしょう。
では、そんなヨガをどうやって始めればいいのでしょうか?
おすすめは以下の3ステップです。
1日5分の「ながらヨガ」から始める
朝起きて布団の中で大きく背伸びをする、寝る前に座ってゆっくり深呼吸する、デスクワークの合間に肩を回す。このくらいの気軽さで十分です。毎日続けるうちに、自然と「もう少しやってみようかな」という気持ちが芽生えてくるはずです。
YouTubeやSNSを活用する
今は無料で質の高いヨガ動画が山ほどあります。数分間の短い動画を選んで、無理なく日常に取り入れてみましょう。自宅で手軽に始められるのが魅力です。
レッスンに参加してみる
少し心と時間に余裕が出てきたら、お近くのスタジオやオンラインレッスンに参加してみるのも良いでしょう。「本物のヨガ」を体験することで、その奥深さにきっと魅了されるはずです。
まとめ
は僕ヨガ指導者として、もちろんヨガを心からおすすめしたい気持ちはあります。しかし、それ以上に伝えたいののは、「あなた自身の時間を持ってほしい」ということ。
それがヨガでも、近所の散歩でも、お気に入りの音楽を聴く時間でも構いません。ただただ、今の自分に立ち返る時間を持つこと。それができると、日々の暮らしの質がガラリと変わるのを実感できるはずです。
「時間がない」
その言葉の裏に、あなたの心と身体の悲鳴が隠れているかもしれません。だからこそ、あえて強く言わせていただきます。
ヨガは、そんなあなたの心と身体に、きっと寄り添ってくれるはずです。
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